福知山の製麺所がつくるラーメン。 設立70年『吉見製麺所』が伝えたい麺のこだわり

韓国風の甘辛いタレ、じっくり煮込まれたそぼろ肉。温泉卵を割り入れて、豪快に混ぜ合わせる。ズルズルッとすすれば、はっきりとわかる麺のコシと風味。福知山市の『吉見製麺所』が手がけるオリジナルラーメン『タレラーメン』です。

毎週水曜日、新町商店街のレンタルスペース『アーキテンポ』に出店。福知山ワンダーマーケットでも行列の絶えない人気店です。今回、店主の吉見 穣(よしみ・ゆたか)さんに、ラーメン開発の背景や麺へのこだわりについてお聞きしました。

“うどん”から始まった“ラーメン”

ーーアーキテンポで提供している「タレラーメン」の特徴について教えてください。

自家製の中華麺とタレを使った、まぜそば風のラーメンです。麺の味わいを感じてもらいやすいように、スープではなくタレをベースにしました。タレは唐辛子の風味はするけれど、辛すぎない味わいを意識しています。温泉卵を割り入れたら、麺と具材をよく絡めてから食べていただきたいですね。

アーキテンポで提供されている「タレラーメン 旨辛味(700円)」。醤油ベースに唐辛子のほどよい辛さとニンニクの香りがアクセント。麺を食べ終えたら、「〆のご飯(50円)」を絡めて即席そぼろ丼に!

ーータレラーメンはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

もともとは、うちで販売している「釜タレうどん」から始まりました。昔、新町商店街で『500円市』というイベントがあったんですね。そこに出店することが決まったとき、ただ単に麺を売るのではなく、調理したものを提供しようと開発したのが自家製の「タレ」です。カツオの香りがたつ醤油ベースのタレなのですが、これをラーメンに応用できないかと考えたのがきっかけです。

自家製麺とタレがセットになった「釜タレうどん(360円)」は、醤油・旨辛・カレーの3種類。その他、各種麺も購入できます。お土産にもおすすめ。

ーーうどんではなく、ラーメンに挑戦した背景を教えてください。

釜タレうどんのタレでラーメンを作って、うちの子どもに食べてもらったのがきっかけのひとつです。うどんよりも反応がよかったんですよ(笑)。実際、『500円市』でタレラーメンを提供してみたら、わーって売れたんです。美味しい!美味しい!って言ってくださって。そこから、ラーメンの商品開発に力を入れ始めたんです。

ーー毎月第4日曜日、福知山ワンダーマーケットにも出店されていますよね。

新町商店街の『まぃまぃ堂』さんに、出店のお誘いをいただいたのがきっかけです。思い切ってチャレンジしてよかったなと。初出店したとき、売れたんですよ、びっくりするくらい。80食を用意していたのですが、完売するのに2時間もかからなかったです。季節によって変動しますが、今では200食をご提供できるまでに成長できました。嬉しい限りです。

手作りにこだわり、美味しさの再現性を追求する

ーー吉見製麺所の製麺に対するこだわりについて教えてください。

卸を中心にうどんや中華麺など、麺全般を扱っています。こだわりは、茹でた麺を1人前ずつ「手で組む」こと。ひと玉ずつ計量して、手で組んで、セイロに並べます。近畿圏内でも、手で組んでいる製麺所は数えるほどしかないんじゃないかな。ほとんどは機械を使って自動で計量します。でも、重さに応じて切ってしまうから、極端に短い麺ができてしまう。すすったときの食感にバラつきが出るんです。

あと、無駄な水分を飛ばすのもこだわりですね。水分が付いたまま袋詰めすると、麺の表面がふやけてしまう。ある程度の時間をおいて乾かすことで、出汁を吸い込みやすいですし、合わせたときに白く濁りにくいから見た目も綺麗なんです。

ーー吉見製麺所は「手作り」が美味しさの秘密なんですね。

素材でいえば、麺をつくるのに「水」はとても重要。生地を練るにも、茹でるにも必要ですし、麺の約40%は水分だといわれています。現在の製麺所は父の代につくられたんです。長町というエリアなのですが、昔から綺麗な水が湧き出ることで知られていました。水質検査をしても文句なしでしたし、製麺に適した場所なんですよ。

ーータレラーメンや釜タレうどんの「タレ」は、開発にどれくらいの時間がかかったのでしょうか?

最初の「醤油味」をつくるのに時間がかかりました。その他のタレラーメンや釜タレうどんの旨辛味・カレー味は、醤油味をベースにつくっています。甘すぎず、辛すぎず、醤油感も出しすぎず。味わいのバランスを整えるのに苦労しました。

特に釜タレうどんは自宅用として販売しています。なので、自宅での再現性には特にこだわりました。せっかく買っていただいたのに、すごく損した気分になってしまう。それだけはなってほしくない。だから、麺の茹で加減や水切りの量など、いろんな状況を考えながら試食を繰り返し、美味しさの再現性を追求しています。

麺が主役、だから「完成品」を提供する

ーー製麺の技術にしても、素材にしても、吉見製麺所に代々受け継がれてきたものがあるんですね。

そうですね。だからこそ、もっと知ってもらいたいという気持ちが強いんです。吉見製麺所は今から70年ほど前、祖父の代に始まりました。祖父から父、父から僕へと製麺の技術が受け継がれています。

生麺の美味しさを知ってもらいたいという気持ちから、釜タレうどんやタレラーメンの開発に力を入れています。麺だけを売るのではなく、麺の美味しさを感じてもらうために「完成品」を提供する。自家製のタレや具材にこだわりはありますが、僕のなかでは、あくまでも麺が主役なんですよ。

ーー今後、取り組んでいきたいことはありますか?

将来的には自分のお店を持ちたいですね。カウンター席だけの小ぢんまりとした店舗で、まぜ麺ではなく、スープベースのラーメンにも挑戦しようかと考えています。いずれにしても、うちの麺の美味しさを楽しんでもらいたい。今後も吉見製麺所の「完成品」を提供していきたいですね。

– Information –
吉見製麺所
住所:〒620-0029 京都府福知山市字下新10「アーキテンポ」
アクセス:福知山市役所から徒歩数分
営業時間:毎週水曜日 11:30〜13:30(L.O)
駐車場:有り

※製麺所はアーキテンポから徒歩すぐ。正面の横道を進み、最初の曲がり角を左に行くと看板が見えてきます。また、製麺のご依頼も募集中とのこと。製麺所の住所は「〒620-0000 京都府福知山市字西長42」です。