2019年12月9日、新プロジェクト『GOOD LOCAL COMMUNITY(GLC)』に伴うトークイベントが開催されました。テーマは【福知山ワンダーマーケットの「これまで」を振り返り、「これから」を考える】。今回、満員御礼となったイベントの模様をお届けします。

まちの未来を考えるトークイベント

福知山ワンダーマーケットは、どのような経緯ではじまったのか。毎月第4日曜日に開催されている定期マーケットの背景について、知っている方は少ないかもしれません。今回のトークイベントでは、共同代表の庄田 健助さん美作 歩さんが登壇。福知山ワンダーマーケットの成り立ちについて紹介されました。

▲庄田 健助(KENSUKE SHODA)
福知山ワンダーマーケット 実行委員会共同代表。尼崎出身。大阪の都市計画コンサルタント会社勤務を経て独立。株式会社Localize(ローカライズ)を設立し、空き地・空き店舗など使われなくなった不動産を使った事業構築を行っている。2016年10月より福知山ワンダーマーケットを共同代表と立ち上げ現在に至る。
▲美作 歩(AYUMI MIMASAKA)
福知山ワンダーマーケット 実行委員会共同代表。京都市から綾部市に移住後、福知山のまちづくり会社に入社。2016年10月より福知山ワンダーマーケットを共同代表と運営。これまで、大学事務やギャラリー運営、ホームページ・広告制作など、さまざまな仕事に携わる。

イベントには、マーケットの成り立ちに関心がある人、まちづくりや場づくりを学びたい人、高校生や大学生など、多世代・多様な人たちが参加。食事や飲み物を囲みながら、庄田さんと美作さんのトークがゆるやかに始まりました。

空き店舗活用を目指したマーケットづくり

最初に語られたのは、福知山ワンダーマーケットに取り組んだ背景について。もともと、地元のまちづくり会社で同僚だった庄田さんと美作さん。新町商店街を含む中心市街地の空き店舗・空き家問題に取り組んでいました。

物件情報を掲載するWebサイトや空き家めぐりツアーなどに取り組みますが、革新的な変化に繋がるような手応えは感じられなかったそう。そこで、まずは「空き店舗を使ってくれる人を増やす仕組みづくりから始めようと考えました」と庄田さん。そこから導き出されたのが「マーケット」でした。

庄田 健助(以下、庄田)「コンセプトを立てて、趣向の合うお客さんが集まって、新しい市場をつくる。そこに飛び込んできた出店者さんにファンがついていく。マーケットを単なる集客イベントにするのではなく、将来的に空き店舗を活用して、企業や個人店開業にチャレンジするための基盤をつくる場所にしようと考えました」

庄田さんが参考にしたのは、前職の先輩の取り組み。まちづくりの一環として各地でマーケットを開催しており、出店者が地元で個人店を開業するまでの流れが生まれていたのです。また、美作さんがマルシェやマーケットが大好きだったのもきっかけのひとつ。京都市内に在住していたときは、毎週末のように会場まで出かけていたそうです。

どのようなマーケットをつくろう?

美作さんは「価値ある商品と出会える、わざわざ出向くだけの意味のあるマーケットにしたいと考えました」と語ります。

美作 歩(以下、美作)「将来的に空き店舗を活用してもらえるような人を集める必要がある。そこで、自分の商品にこだわりのある人、誇りを持ってモノづくりをしている人に出店してもらって、お客さんにとっても満足度の高いマーケットを目指そうと思ったんです」

マーケットを立ち上げるときに大事にしたのは「これからつくりたいまちのイメージ」。モデルとして考えたのが、新町商店街でカフェを営む『まぃまぃ堂』さんでした。

レトロで可愛い店内、手仕事やオーガニック、天然素材にこだわる店主。まぃまぃ堂さんと同じような価値観を持つ、お店やお客さんが集まるまちにしたい。福知山ワンダーマーケットが大切にしているビジョンです。

平坦な道のりではなかった3年間

2016年10月に第1回目を開催した福知山ワンダーマーケット。現在に至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。例えば、初回で苦労したのは「出店者を集めること」と美作さんは振り返ります。

美作「出店者さんのセレクトは私の担当でした。でも、一度も開催したことのないマーケットでしたし、そもそも、新町商店街ってどこなん?というところから始まって大苦戦。それでも、出店して欲しい理由を自分の言葉で伝えることを大切にしながら、一人ひとりに向けてオファーを贈りました」

当時、目指していた出店者数は40軒。結果、第1回目では34軒を集めることに成功します。現在では運営側から声をかけなくても応募がある状態で、逆に出店スペースを確保できずにお断りするのが悩みなのだそうです。

また、庄田さんは運営体制や運営費用などの裏側を紹介しながら、3年間の歩みを振り返ります。そのなかで、存続の危機に陥ったことが数回あるのだそう。例えば、人手不足により、運営メンバーの負担が大きくなりすぎたときです。

福知山ワンダーマーケットは、数名の有志からなる実行委員会で運営されています。普段は本業のあるメンバーで構成されており、全員がボランティアベースです。

最初は美作さんがほとんどの作業を担っていましたが、第1回目の開催から1年ほど経った頃からは、実行委員会のメンバー全員で開催準備や広報、事務経理などの運営作業を分担するようになりました。でも、本業との両立は大変。次第に無理が生じていきます。

庄田「本業との両立はとても大変ですし、そもそもマーケットの運営なんてしたことのない素人の集まりです。みんな疲弊して、作業が追いつかない場面も出てきて。例えば、毎月道路を借りるために警察の手続きが必要なのですが、それも遅れてしまってお叱りを受けることもありました(笑)」

なんとか体制を整えないといけない。そこで、実行委員会のメンバーで人件費を出資し、事務作業を担当してくれるスタッフを雇用。現在では、マーケットの運営を支える要となっています。

定期マーケット運営のこだわり

福知山ワンダーマーケットの成り立ちを振り返りつつ、紹介されていたのがマーケットを運営するこだわりです。例えば、「市の補助金は使わない」という姿勢は特に重視していました。

庄田「福知山市のお金に頼ってしまうと、自分たちが守りたいビジョンやコンセプトがブレてしまうと考えました。第1回目から現在に至るまで、福知山ワンダーマーケットでは市の補助金を使わずに運営を続けています」

また、毎月1回開催する背景についても理由があります。

庄田「理由としては2つあって、ひとつは、広報物のコスト削減です。2ヶ月に1回のペースでチラシを刷ろうと思っていたのですが、6カ月分をまとめて掲載するようにしました。もうひとつの理由はファンづくりのためです。毎月、マーケットで顔を合わせることで、出店者さんとお客さんの関係を深められると考えました。実際、リピーターの方が多いですよね」

美作「そうですね。購入した商品の感想を伝えに来てくれる方とか、翌月に購入する物を決めて来てくれる方とか。並んでいる商品をつくった人が目の前にいて、直接会話できるのが楽しくて、ちょっとしたお友達のような関係性になっているお客さんも多いですよ」

その他、出店者さんやお客さんだけでなく、地元の人たちとの関係性を大切にするのも、マーケットを続けるために必要なこと。例えば、新町商店街に住まいを構える人たちに、開催日や当日のお願いを記載したチラシを配布。トラブルにつながりやすいので、毎月欠かさず行なっています。

2019年10月、3周年を迎えた福知山ワンダーマーケット。「事務スタッフや当日の運営を手伝ってくれる学生さんが協力してくれるおかげで、自走する体制を整えることができました」と庄田さん。現在、毎月60店舗近くの出店者さんが集まるまでに成長しています。

前半のレポートはここまで。

福知山ワンダーマーケットの成り立ちや苦労したこと、運営の裏側まで語られ、熱心にメモを取る参加者もいました。後半では『アーキテンポ』と新しいプロジェクトの具体的な取り組み内容についてお届けします。

▶︎ 後編に続く

イベント情報|ポートランドから学ぶ「まち」の未来

第1回目を満員御礼で迎えた、『GOOD LOCAL COMMUNITY』のトークイベント。第2回目のテーマは「アメリカ・ポートランド」。ポートランドに精通する特別ゲストをご招待し、これからの「まち」の未来を考えます。

■日時
2020年2月10日(月)
開催時間は19:00〜20:30(終了後 懇談会)

■参加費
3,000円(軽食とドリンク付き)

■会場
アーキテンポ(京都府福知山市下新10)

■イベント詳細
https://wonderfukuchiyama.net/event/glc-event-1/

■参加申込み
以下の応募フォームよりご応募ください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfE9p-YhfJVbjUHnfj9M79w-roaXg3MhxiW6vHzI6aFhYd1Zg/viewform